SDG13探究Cafe -気候変動を科学的に視る- 開催のご報告

令和3年7月25日(日)16時から18時まで、SDGs探究Caféを開催いたしました。
北九州市立ユースステーションは、北九州市の持続可能な未来づくりの主役である中高生の探究と実践を応援しています。年に数回、SDGs17のゴールひとつひとつについて、その分野の専門家の方を講師にお招きし、起きている問題や原因についてレクチャーを受けます。その上で、講師も含めた参加者同士で対話しながら、問題に対しての解決策や自分たちが出来るアクションプランを考えていきます。
第一回目である今回のテーマは「SDG13:気候変動を科学的に視る」、九州大学応用力学研究所 気候変動分野 主幹教授である竹村 俊彦先生に講師を依頼しました。
参加者は、ユースステーションの利用者を中心とした北九州市内の高校生でしたが、北九州市外、福岡県外である関東、離島からの参加もあり、地域を超えた学び合いが実現しました。

ワークショップでは、まずはじめにユースステーションについての説明、SDGs探究Cafeの趣旨説明を行った上で、講師の竹村教授を紹介しました。
その後、生徒同士の自己紹介を行い、最初のグループワークに入りました。

最初のグループワークのテーマは、
「地球の平均気温が3度上昇したら、自分たちの身の回りのもので出来なくなることは何か?」

このワークで出てきた生徒たちの意見は以下のとおりです。
Aグループ
エアコンを使うことによって排気ガスが排出されてヒートアイランド現象がおきてしまうのではないか。永久凍土が溶けて住宅の地盤沈下が起きてしまうのではないか。
Bグループ
暖かい地方の旬な食べ物が、いろんな地域に出回る。熱中症で倒れる人が多くなる。その対策でエアコンをつける人が多くなることによって有害物質が発生して負のサイクルが起きる。それによって外来種が日本に来る可能性がある。氷が溶けることによって海面上昇を引き起こす。アイス会社や夏服の開発会社の利益が上がる。子供たちが外で遊ばなくなりプールや海で遊ぶ人が増えるので水難事故が増える。
Cグループ
地球温暖化が進み3度上昇した時に、広い範囲で生物多様性の損失される。利用可能な水の減少が予測されるという事から暑くなった時に緊急搬送者が増え、死亡者が増える。利用可能な水が無くなる事から、農業に影響を与え、野菜不足に陥り野菜不足になる。
Dグループ
熱中症などの危険性によって屋外スポーツと海に住んでいる生物が適した温度で住めなくなることによって、釣り、漁業に影響が出る。外を走る車のエンジントラブルが増える。外出が難しくなる。冬のスポーツに影響が出る。自由にスポーツができなくなることによってストレスが溜まるため健康を損なう恐れがある。
Eグループ
冬のスポーツや農作物の収穫が難しくなる。南極の氷が解けて海面上昇して島が沈んだり、海や陸の生物の生態系が変化する。気温が高くなって外に出るのが難しくなり、高齢者が多い農業産業が衰退するのではないか。
Fグループ
地球温暖化で北極や南極の氷が溶けて海面が上昇する事によって観光地である島が沈み、観光や移住ができなくなる。スキーなどの冬のスポーツできなくなったり農作物が育たなくなる。

これらの発表に対するフィードバックを踏まえて、竹村教授に「気候変動基礎論」を講義していただきました。
講義では、以下のようなことについて具体的にご指導いただきました。

・文学作品中の気候変動に関する記述(宮沢賢治「グスコーブドリの伝記」)


・地球大気のエネルギー収支


・気体によるエネルギー吸収の波長依存性

・温室効果気体による気候変動のメカニズム

・二酸化炭素濃度の変遷


休憩後、前半のレクチャーを踏まえて、2つ目のグループワークを行いました。
テーマは、
「気候変動を起こす物質を特定し、その排出を抑える方法を検討する」

各グループから以下のような発表がありました。
Aグループ
CO2を減らすために、火力発電よりも水力発電の割合を増やす。 
メタンを分解するために、微生物を増やす。
Bグループ
日本では火力発電が多いので、CO2を減らすために自然エネルギーに乗り換える。また、電気自動車やエコバックの利用、ゴミの分別の徹底が挙げられる。
Cグループ
地球温暖化促進する物質として、CO2を挙げた。CO2の排出を減らすために、植物の数を増やすことと、石油や石炭などをエネルギー源として使うのではなく、自然エネルギーを使う。
Dグループ
CO2の濃度が、産業革命前より50%増加したのは、化石燃料が原因と考えられるため、動力を化石燃料から電気に変える。但し、日本では火力発電が多いので、火力発電から再生可能なエネルギーに変える必要がある。
Eグループ
CO2を減らすために、水素自動車、ハイブリットカー、電気自動車を選ぶようにすること、電車や自転車、徒歩での移動を心がける。身の回りで使うもののうち、化石燃料を使用しているものを利用しないようにする。
Fグループ
海水を大量にとって、塩と水に分け、水を電気分解し、水素と酸素に分ける。水素を自動車のエネルギーとして使うようにする。

これらの発表に対するフィードバックを踏まえ、竹村教授に追加で以下のようなレクチャーを行っていただきました。

・日本の極端な気温の変化

・地球温暖化に関する最近の国際的な政策動向

・産業革命以降の海洋、勢氷圏の変化

・カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略



講座を受講した生徒の感想は以下のとおりで、多少の難しさを感じた生徒がいたものの、多くの高校生が知見を深めることができました。また、竹村先生は、現在高校で学んでいる数学、化学、生物、物理の基礎があれば、気候変動に関する多くのことを理解できるとおっしゃっていました。このことから、深い探究を行えば、自然とそれら教科の基礎を使うということが分かり、探究学習を高校時代に行う意義を、生徒たちも、私たちも再確認することができました。竹村先生、貴重なお話誠にありがとうございました。

Q1.本日のワークショップは楽しかったですか?そう思った理由をお書きください
・単純ですが、知らなかったことを知ることができたからです。無駄だと感じる時間が一切なく、専門的で少し難しい部分もありましたが、それらを理解している人が、理解していない人でもわかるように説明できるというのは本当に凄いことだと思ったし、それをまた楽しいと感じさせられるのは本当に感動しました。
・自分が探求している気候変動について、理論的に詳しく知ることが出来たし、インタビューの内容などと繋がることが多くて、聞いてて楽しかった。

Q2.本日のワークショップは勉強になりましたか?そう思った理由をお書きください
・確かに内容自体は難しかったが、なぜ気候変動が起きるのかという核心的な答えをしっかり科学的側面から説明してくださったため貴重な経験だった。
・学校では絶対に習わないことを、たくさん教わったからです。また、「気になる人は後で調べてみてください」と言われて実際に自ら調べたのは今回が初めてでした。そのような意欲を生徒に起こすことができる先生の講義自体もとても勉強になりました。
・地球温暖化の原因や地球の温度が上昇したらどんな影響があるのかなど、今後どんなことを対策をすればよいのか考えることが出来た。

Q3.今回の講義で講師が一番伝えたかったことは何だと思いますか?
・自分たちができることを考えて、行動すること
・今の自分たちの行動で地球の運命が左右されるということ。
・気候変動を自分事として捉えること
・様々な分野を広く深く学ぶことで、様々な社会問題の解決に繋がる
・探究への気持ちが大切だということ

Q4.今回の講義での学びを、どう実践しますか?
・SDGs探求活動を通してたくさんの人に知ってもらいたい
・身の回りの子どもたちに、先生のようにわかりやすく噛み砕いて伝える。自分自身は、親世代がしてきたことを絶対に次の世代に繰り返さないように、学びに限界を設けない。
・苦手な教科も頑張って勉強し、様々な分野の事を学ぼうと思う。
・小論文や面接で、この経験をもとに話が出来たらいいなと思う。来年の発表にむけて今回の反省点等を活かしていきたい。プレゼンや人前に立って発表することに対して嫌悪感を持たず、挑戦して行きます。

次回のSDGs探究Caféは、令和3年8月22日(日)16時~18時、テーマは「SDG10:人種偏見のメカニズム」です。
講師は、関西大学外国語学部 福井名誉教授と菊地教授にお願いしています。
北九州市内の中高生はもちろん、全国の高校生のご参加をお待ちしております。

SDG10探究Café
https://www.kitaq-youth.com/sdg10cafe/